【トレセンのウマい話】外国人ジョッキー活躍の背景に“JRAジョッキーの伸び悩み” 馬券で気を付けたい「夏競馬の騎手動向」

厩スポイラー

2025-06-04 16:30

【トレセンのウマい話】外国人ジョッキー活躍の背景に“JRAジョッキーの伸び悩み” 馬券で気を付けたい「夏競馬の騎手動向」
【トレセンのウマい話】外国人ジョッキー活躍の背景に“JRAジョッキーの伸び悩み” 馬券で気を付けたい「夏競馬の騎手動向」
日本ダービーが終わり、競馬の暦ではいよいよ夏競馬へ。春はモレイラやレーンら短期免許の外国人騎手が勝ち星を重ねるが、戸崎、丹内がリーディング上位を確保。一方、ルメールや川田といった常連勢が成績を落とすなど、騎手勢力図に変化が見られ、全体的に“混戦模様”の様相だ。夏競馬に向けて、馬券で気を付けたい騎手動向をキャッチ。
92回目を迎えた日本ダービーは北村友一騎手が跨った1番人気のキタサンブラック産駒クロワデュノールが優勝。北村友騎手、管理する斉藤崇史調教師、キタサンブラック産駒としては初めてのダービー制覇となったいっぽう、生産者のノーザンファームは2年ぶり13回目、オーナーのサンデーレーシングにとっては4年ぶり5回目の勝利となった。

関係者が異口同音で振り返るのが、当日のパドック周回での同馬の落着き。
「1頭だけ馬が違った」
「3歳馬とは思えない威風堂々さ」

圧倒的な高評価であった。それだけに、レース後には次のようなコメントも聞かれた。
「皐月賞で勝っていればクラシック三冠。もっといえば無敗でホープフル、皐月賞、ダービー菊花賞を制することになったのでは…」

こうなると単勝1.5倍に推されるもミュージアムマイルに先着され2着に敗れた皐月賞が悔やまれるところだが、専門紙記者のKは運がなかったと話す。

「今年の皐月賞は、史上初となるCコース開催でした。それも春の中山最終週となるタイミングで、前週までのBコースから内ラチが動きました。いい馬場状態でやりたいというJRAの意向だったのでしょうが、クロワデュノールにとってはマイナスに働きましたよね。いい馬場を求めて内側に各馬が殺到。クロワデュノールも向正面で前をカットされたのですが、結果として北村騎手が危機を察知して早めに動くことになった。しかも皐月賞はホープフルからのブッツケで、ダービーを意識して少しおつりのある仕上げだった。ラストで差されたのはその分の差だったと思いますよ。皐月賞がホープフルSと同じAコースや例年通りのBコース開催なら不利を受けることなく普通のレース運びで勝っていたでしょうね。そうなるとダービーで無敗のクラシック二冠達成となっていたはずです」

“Cコース”という史上初の試みが、まさかの結果を呼んだという見方だ。とはいえ、この先のクロワデュノールの戦績次第だが、将来皐月賞での負けがクロワデュノールの強さを語る上でのエピソードになるかもしれない。

さて、ダービーが終了しても安田記念、そして今年から開催が2週前倒しとなった宝塚記念とGI連続開催は続いていく。だが競馬界の暦としては春競馬が終了して今週からは夏競馬のスタートとなる。東京と阪神では2歳新馬戦もスタートし、東西のトレセンでは来週から開幕の北海道シリーズへ向けて馬や関係者の移動も始まっており、先週までに比べると1~2割は馬や人の数も少なくなっている。

春競馬が終了したタイミングで騎手リーディングを見てみると、今年は大きな変化があった。まず今年の上位5位までは次のような順となっている。

1位戸崎圭太56勝
2位丹内祐次48勝
3位坂井瑠星48勝
4位岩田望来46勝
5位松山弘平45勝

昨年春競馬で68勝をマークしてリーディングトップだった川田騎手は43勝で8位。怪我による休養期間があり62勝で2位だったルメール騎手は45勝で6位と、近年騎手リーディングを引っ張ってきた2人が伸び悩んでいた。いっぽうで昨年3位だった戸崎騎手がトップとなり、丹内騎手や松山騎手も勝利数を伸ばしている。この状況に対して前出のKが解説してくれた。

「ルメール、川田の両騎手の勝利が減りました。その理由は以前お話しした通り(【トレセンのウマい話】迫る「モレイラ・ロス」 2トップの“低空飛行”から見えてくる騎手事情)で、この夏も同じような感じになると思います。56勝でトップの戸崎騎手ですが、昨年は春競馬終了時点で55勝。上位2人の順位が落ちただけで、戸崎騎手自体の勝利数はほぼ変わっていません。丹内騎手は昨シーズンの34勝から勝利数を伸ばしていますが、坂井騎手は46勝、岩田騎手も44勝とそこまで大きく変わっていません」

「では何が変わったかといえば、モレイラ騎手が23勝、レーン騎手が19勝と短期免許の外国人騎手が短期間で勝利数を稼いだことです。また日本人騎手で見れば、誰かが凄く伸びたというよりは飛びぬけた勝利数の騎手がおらず混戦模様ですね。ルメール、川田の2人がワン・ツーでなくなったことで混戦模様というか、スター騎手、信頼できる騎手がいなくなっただけの感もあります。こうなると夏競馬が少し心配です。リーディング順位だけで過剰人気となる騎手が出てくるかもしれません。いっぽうでまだ評価が固まっていない若手騎手にとっては一気にブレイクできるチャンス。この夏は、そういう若手騎手を探すのがいいのかもしれません。個人的には昨年デビューの吉村、高杉の両騎手に注目しています」

4月、5月と重賞Vを果たした吉村騎手、昨年48勝を挙げた高杉騎手は昨年夏にパワーアップして飛躍を遂げた期待のホープだ。夏競馬での騎手動向にも注目したい。

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