【トレセンのウマい話】安田記念参戦予定のアスコリピチェーノが臨む“ソングラインローテ” ノーザンFが確立する「新たな前哨戦の選択肢」

厩スポイラー

2025-05-21 16:30

【トレセンのウマい話】安田記念参戦予定のアスコリピチェーノが臨む“ソングラインローテ” ノーザンFが確立する「新たな前哨戦の選択肢」
【トレセンのウマい話】安田記念参戦予定のアスコリピチェーノが臨む“ソングラインローテ” ノーザンFが確立する「新たな前哨戦の選択肢」
今年のヴィクトリアマイルは、アスコリピチェーノが優勝し、春のGIをつなぐ、1351ターフスプリントから連勝で重賞5勝目をマークした。そこから中2週で安田記念参戦を予定する同馬。このローテーションは2022年、23年とソングラインが使ったもの。一見、間隔が詰まり現代らしからぬローテに映るが……。注目が集まる“連勝ローテ”と、次なる舞台・安田記念への可能性について探る。 
今年で20回目を迎えたヴィクトリアマイルは、ルメール騎手が騎乗した1番人気のアスコリピチェーノが優勝。阪神JF以来となる2つ目のGIタイトルを手にするとともに、前走サウジアラビアの1351ターフスプリントから連勝で重賞5勝目をマークした。クビ差2着に昨年のクイーンC勝ち馬で前走金鯱賞勝利から距離短縮での出走だったクイーンズウォーク、さらにハナ差に前走の中山牝馬Sで重賞初制覇を飾ったシランケドが入っている。なお、勝ったアスコリピチェーノは中2週で安田記念参戦を予定しているようだが、中堅馬主のレーシングマネージャーMは次のように話す。

「ということは、以前のソングラインと同じローテーションとなるわけだ。ソングラインは4歳時が1351ターフスプリント1着、ヴィクトリアマイル5着、安田記念1着。5歳時は1351ターフスプリント10着、ヴィクトリアマイル1着、安田記念1着だった。対して今春のアスコリピチェーノは1351ターフスプリントとヴィクトリアマイルを連勝。もし安田記念も勝って3連勝となれば偉業だよね。それと馬の適性にもよるだろうけど、ノーザンさんとかノウハウを持っているところだと、マイル路線牝馬の春は1351ターフスプリントからヴィクトリアマイル、そして安田記念のローテーションが定着していくのかもしれないね」

ヴィクトリアマイルの前哨戦としては4月に阪神牝馬Sと福島牝馬Sが組まれている。また同じ東京マイルでは2月に東京新聞杯、牝馬重賞としては今回シランケドがステップとした中山牝馬Sが3月に行われているが、Mの言うローテーションが定着していくと考える理由は何だろうか。

「ヴィクトリアマイルはGIだけど、ある程度以上のレベルの馬だとここが最大目標というより、ここと安田記念、あるいは宝塚記念をセットで考えるレース。となると4月に前哨戦を叩いているようでは残り2戦の仕上げが難しい。なら2月か3月に一度レースを使ってから間隔を取ってヴィクトリアマイルから再始動のほうが調整しやすいでしょ」

ノーザンが確立した近代競馬の基本となっている「間隔をあけて使う」ローテーションはやはり軸となっている。

「その上でヴィクトリアマイルから安田記念目標の馬なら、中山の内回り1800m戦の中山牝馬Sはちょっと違う。選択肢が国内しかなければ牡馬相手でも同じ東京マイルの東京新聞杯がベターだけど、実績馬だと斤量を背負わされる。ならば海外遠征。距離は少し短いけれど、左回りで直線も長めなコースで日本の牝馬なら斤量55キロで出られる1351ターフスプリントは魅力。賞金も1着が120万ドル、2着でも40万ドルと、GIIの格付けながらヴィクトリアマイル以上にもらえるからね」

馬の適性や賞金面を考慮しての選択肢が、いまや海外レースも含まれる時代になったということか。Mは続けて、

「もちろんこれは海外遠征を問題なくこなせる環境下にある馬の場合。仮に私が携わっている馬からヴィクトリアマイルで勝ち負けになるレベルの馬が出てきたとしても、ノウハウを持った厩舎や牧場さんに協力してもらえないとサウジアラビアに行っただけで終わっちゃうかもしれない。それとソングラインとアスコリピチェーノはクラブ馬だけど、牝馬だと契約で5歳いっぱいとか6歳春まで現役を続けなければならなくて、なかかつ現役時代に稼がないといけない仕組みなので、賞金の高い海外レースを目指すのは自然なことだと思うよ。いずれにしろ、レースの選択肢が多いこと馬にとっても関係者にとってもプラスなことだし、その中で結果が出たものが定着していくのではないかな」

なるほど。ローテーション選択には様々な思惑が絡むとともに、陣営の持つノウハウも影響するようである。そのなかで1351ターフスプリント→ヴィクトリアマイル→安田記念のローテーションが選ばれる可能性が高いということか。

さて、ヴィクトリアマイルの次は3歳女王決定戦のオークス。3歳クラシック路線では海外遠征という選択肢がほぼないだけに、前走桜花賞出走馬による好走が定着しているレースでもある。それでも古馬に比べると“絶対”ではないのが3歳牝馬。桜花賞組以外が結果を出せるかにも注目したい。

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