【トレセンのウマい話】「大レースと条件戦で狙い方を変えるべし」 リーディングから垣間見える厩舎カラーと馬券の付き合い方

厩スポイラー

2025-04-30 16:15

【トレセンのウマい話】「大レースと条件戦で狙い方を変えるべし」 リーディングから垣間見える厩舎カラーと馬券の付き合い方
【トレセンのウマい話】「大レースと条件戦で狙い方を変えるべし」 リーディングから垣間見える厩舎カラーと馬券の付き合い方
騎手界ではモレイラが短期免許を終え、ルメールが復調。一方、厩舎のリーディング争いに目を向けると──。着実に勝ち星を積み重ねる厩舎、大舞台を狙うトップステーブル、各厩舎カラーが浮き彫りになってきた。春のGI7連戦を前に、今知っておきたい厩舎事情とは? 馬券に役立つヒントを探る。
2カ月続いた中山、阪神の連続開催が終了し、先週からは春の東京、京都開催がスタート。開催が替われば流れが変わることが多い勝負の世界、騎手界では様々な動きがあった。

まずはこの数週間、日本競馬を引っ張っていたモレイラ騎手が短期免許期間終了で国内から離脱。もっとも騎乗最終日となった26日土曜日の東京では7戦4勝、勝率57.1%という驚異的な成績を残すとともに、身元引受先である堀厩舎のファイアンクランツに騎乗して青葉賞で2着となりダービー優先出走権を獲得している。

そのモレイラ騎手の離脱とともに息を吹き返したのが昨年のリーディングジョッキー・ルメール。得意の東京コースが合ったのか、土曜日の青葉賞から日曜5Rまで騎乗機会5連勝を達成するなど【5-4-1-3】の成績を残した。ほかに現在のリーディングである戸崎騎手が土日5勝、福島では小沢騎手も5勝をマークし、リーディング2位の丹内騎手は4勝。武豊騎手、坂井瑠星騎手などが土日で3勝しており、リーディングジョッキー争いはこの先激しさが増しそうである。

先週の当コラムでも騎手事情についてコメントした専門紙記者のKは、この先を次のように予想する。

「モレイラがいなくなったらとりあえずルメール。全盛期のように1日で5勝、6勝、7勝というわけにはいかなかったけど、1週5勝はさすが。騎乗依頼をするほうからの信頼度はまだまだ高いってことかな。ただ今週からレーンが来てどう変わるか。東京での乗り方はルメールのほうにアドバンテージがあるけど、結局は騎乗馬の質だからわからないね。今の騎手事情的にも混戦になると思う。あと今週はルメールがアメリカで、レーンは土日ともに京都みたいだから東京で乗る騎手はチャンス。日曜日に天皇賞で京都へ乗りに行く騎手のなかには、土曜の東京が勝負だと考えているかもしれないね」と混戦になりそうな騎手界。

では騎手に対して騎乗依頼をする厩舎はどうなのかと厩舎リーディングを調べてみると、意外な結果であった。(4月末現在)

(1)杉山晴紀 【24-6-9-91】
(2)田中博康 【16-11-8-43】
(3)上村洋行 【15-13-10-42】  
(4)斎藤誠  【15-12-9-106】
(5)藤原英昭 【14-14-9-71】
(6)友道康夫 【14-12-9-67】
(7)堀宣行  【13-14-2-45】
(8)斉藤崇史 【13-11-11-74】
(9)中村直也 【13-5-7-81】
(10)高柳大輔 【12-9-8-58】

なんとトップの杉山晴紀厩舎が24勝を挙げ、16勝で2位の田中博康厩舎とは勝利数で1.5倍の差があるではないか。4月末で24勝ということは単純計算で年間72勝に達し、圧倒的な成績でリーディング獲得となるペースである。

杉山厩舎はなぜこんなに勝利できているのか。一方で昨年リーディングを獲得した矢作芳人厩舎(15位)【11-10-12-132】、さらに今年GIを制している木村哲也厩舎(39位)【9-4-7-37】や森一誠厩舎(95位)【6-2-5-43】に成績浮上のチャンスはあるのか。再び、Kに聞いてみた。

「個人プレーの騎手と異なり、厩舎は馬主さん、スタッフ、さらには騎手など様々な利害関係者との関係があるので単純に勝利数だけにどうこうといえないところがあります。もちろん成績がいいにこしたことはありません。今年ここまで杉山晴厩舎が好調なのは、ベースとなる3歳馬で15勝をマークしているところだと思います。それも新馬、未勝利を勝つだけでなく、エリカエクスプレスとサトノシャイニングで重賞を制し、トワイライトシティとジョバンニでリステッド勝ち。理想的な勝利数の積み重ね方ですので、60勝近くまで行く可能性があります」

杉山晴厩舎は伸びしろのある3歳馬の好調ぶりに注目といったところか。続けて、

「一方、矢作厩舎も現3歳は13頭が勝ち上がっていますが、新馬、未勝利勝ちは昨年が10頭に対して今年はまだ3頭。成績上位常連で出走回数も多い関係者にとってはこれ以上ない厩舎なのですが、そのぶん管理頭数も多く馬房回転との兼ね合いで3歳馬の勝利数が少なくなってしまう。春競馬後半戦から夏競馬になれば残っている3歳馬がある程度成績を残してくればリーディング順位が上がっていくとは思います」

「森厩舎はまだ開業2年目。馬房数が少ない環境でよくやっていて、そんな中からエンブロイダリーが出たのが凄いこと。木村厩舎は古馬の活躍馬が多く、3歳馬にチャンスが回ってきていない。しかもここからは期待の2歳馬も入ってきたりして、馬房のやりくりが大変になるのでどうなるか。大レースに勝ち負けになる馬がいてなおかつ厩舎の勝率もいいですが、基本リーディング争いというタイプではないので……」

なるほど。では各厩舎に馬券的ヒントはないだろうか。

「ノーザンファーム一強とされている現代競馬ですが、ここまでリーディング上位の杉山晴厩舎、田中博厩舎、上村厩舎、斎藤誠厩舎ってノーザンファーム一辺倒じゃないでしょ。そういう厩舎は頭数で勝利数を勝み重ねる。対して森厩舎、木村厩舎はノーザンファームの馬が多い。1頭の強い馬が稼ぐって感じかな。強い馬がいる厩舎はイメージで人気になるけど、大レースと条件戦で狙い方を変えるべきでしょうね」

Kはリーディング上位の厩舎と、ランクインしていないが“大舞台向き”のトップステーブルで起こる「勝利数」の違いに言及した。

春のGIシリーズは続いていくが、厩舎ごとに狙い方を変えるのがベターなようだ。

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