【トレセンのウマい話】ハンデ戦の府中牝馬Sと新設重賞の施行は成功? チェルヴィニアらが示した“今後の位置づけ”

厩スポイラー

2025-06-25 16:30

【トレセンのウマい話】ハンデ戦の府中牝馬Sと新設重賞の施行は成功? チェルヴィニアらが示した“今後の位置づけ”
【トレセンのウマい話】ハンデ戦の府中牝馬Sと新設重賞の施行は成功? チェルヴィニアらが示した“今後の位置づけ”
春の中央開催最終週は、東京で牝馬限定ハンデ重賞・府中牝馬Sと、阪神で新設重賞・しらさぎSが行われた。府中牝馬Sはセキトバイーストが制し、しらさぎSではキープカルムが重賞初勝利。1番人気のチェルヴィニアは2着に入り、約半年ぶりの好走を果たした。JRAの試みに関係者の思惑が重なり、どちらもメンバーレベルは高く魅力あるレースとなった。
今年は1週短縮の3週間開催となった6月の東京、阪神開催も先週で終了し、今週からは夏のローカル開催がスタートする。その22日は、東京では昨年まで阪神で開催されていたマーメイドSが東京芝1800mへ条件変更となった府中牝馬S、阪神では昨年までリステッド競走だった米子Sが重賞格上げとなり新たにしらさぎSの名で施行された。

牝馬限定のハンデ戦の府中牝馬Sは、昨年までのマーメイドSで格下馬による好走が目立っていたこともあり、前走で2勝クラスを勝ったばかりでハンデ52キロのカニキュルが1番人気に支持されたものの結果は8着敗退。1着は前走でリステッド競走の都大路Sを勝利し、ハンデ55.5キロで出走した5番人気のセキトバイーストで、2着に前走で3勝クラスを卒業も全4勝を東京芝1800mでマークしていたことが評価され3番人気となったハンデ53キロのカナテープ、そして3着が3勝クラス在籍も2走前に阪神牝馬Sで3着となるなど重賞での好走経験が複数あり2番人気推されたハンデ54キロのラヴァンダという結果となった。専門紙記者・Kはこう分析する。

「JRAにとっては良かったと思うよ。マーメイドSはハンデ重賞らしく波乱傾向にあったいっぽうで、格下馬の好走が目立ち過ぎていた。昨年も2着のエーデルブルーメこそ前走で3勝クラスを勝ち上がってギリギリオープン馬だったけど、1、3着馬は前走で2勝クラスを勝った3勝クラス在籍馬。1頭ぐらいそういう馬が上位に来るのは分かるけど、重賞としては格的にも微妙だった」

「そこで、米子Sの重賞格上げで阪神での重賞が増えてしまうバランスを取る形で東京へ開催場所を変更したら、この結果。個人的にはラヴェルとかミアネーロといった重賞ウイナーが掲示板に1、2頭載るくらいのレースになって欲しかったけど、重賞としての格が少し回復して3連単配当も4万台とまずまず。JRAにはこういった重賞のスケジュールを企画する部署があるのだけど、そこの人たちは優秀だと思うよ」

いっぽう阪神では第1回しらさぎSが開催。昨年の牝馬二冠馬チェルヴィニアが斤量57キロを背負ってGIIIへ出走してきたことが注目されたが、1番人気に推され2着を確保。前走ダービー卿CTで3着に入っていた4歳馬キープカルムが重賞初制覇を飾り、3着には昨年の京都金杯勝ち馬ながら近走不振で殿14番人気だったコレペティトールが入り、3連単配当は51万円。サマーマイルシリーズ第1戦としても、派手なスタートとなったようだ。

「こちらもJRAにとっては良かったと思うよ。昨年までこのレースだけがサマーシリーズでリステッド競走という歪な状態だったけど、今年から重賞に格上げ。問題は安田記念から中1週ということもあって重賞らしいメンバーが揃うかどうかだったけど、GI2勝のチェルヴィニアが出てきて2着。同馬は桜花賞では13着も、もともとアルテミスSの勝ち馬。聞くところによると安田記念への参戦プランもあったようだけどドバイから帰国後の調整間隔とかもあって、ここへのエントリーとなった。そう考えると、このレースが重賞に格上げされていて助かったと思うよ」

第1回の新設重賞は実績馬の復活の舞台として印象付けた。なお、しらさぎSでは重賞3勝のレーベンスティールも59キロを背負い、初のマイル戦出走となったものの、チェルヴィニアとは0秒3差の7着であった。

「チェルヴィニアの1番人気はともかく、この馬の2番人気は他のメンバーとの実績差が期待され過ぎちゃったかな。でもあの着差なら、選択肢も広がったと思うよ。なんでこのレース? って声もあったようだけど、来週からは夏のローカルだから陣営としては中央場所のうちに使っておきたかった。そういう意味でも、この馬もしらさぎSの重賞格上げに助けられた1頭じゃないかな」

と、チェルヴィニアは桜花賞以来のマイル戦、レーベンスティールは初距離と適性距離で迷える実績馬が復調ムードを漂わせていたことに注目していた。陣営の「秋に向けてどうするか」においても、収穫のあるレースになったことだろう。

ちなみに専門紙記者・Kは日曜日の東京競馬場に臨場していたという。実はこの日の東京競馬場はフリーパスの日で、その入場人員は5万6584名。ダービーデーの8万2040名には及ばなかったものの安田記念当日の5万1642名を上回り、春の東京開催で2番目の入場人員となった。

「牝馬GIIIの日なのに凄く混んでいた。実は東京競馬場の混雑バロメーターには、場内の牛丼屋(吉野家)の行列と売り切れタイミングがあるのだけど、日曜日は午後に入って完売していたからね。GIデーじゃないから仕込みが少なかったとしても、ビックリしたよ。入場料をタダにして、JRAにとっては良かったと思うよ」

新設重賞のしらさぎS、春の東京最終週に行われた新しい府中牝馬Sは、JRAや関係者の立場からすると成功に終わったと見てよさそうだ。

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