【函館記念2025/外厩リスト】チェルヴィニアは“じっくり外厩調整”が功を奏したか 北海道外厩利用馬が地の利を活かしてタイトル狙う

坂路の家主 M

2025-06-26 17:30

【函館記念2025/外厩リスト】チェルヴィニアは“じっくり外厩調整”が功を奏したか 北海道外厩利用馬が地の利を活かしてタイトル狙う
【函館記念2025/外厩リスト】チェルヴィニアは“じっくり外厩調整”が功を奏したか 北海道外厩利用馬が地の利を活かしてタイトル狙う
春の中央開催を締めくくった府中牝馬SとしらさぎSは、それぞれ異なる調整過程を経た馬が上位を占める結果に。府中牝馬Sは在厩調整のセキトバイーストが制し、2・3着は外厩からの帰厩馬が続いた。しらさぎSでは外厩調整から態勢を整えたチェルヴィニアが復調気配を見せ、勝ち馬キープカルムは大山ヒルズ調整馬。今週からは夏のローカルが開幕し、ラジオNIKKEI賞と函館記念に注目が集まる。外厩調整の傾向や施設の違いも、夏競馬を読み解くヒントとなりそうだ。
先週をもって、中央場所の競馬が終了。その最終週には東京で府中牝馬S、阪神ではしらさぎSの2重賞が開催された。府中牝馬Sは前走の都大路S1着から中3週の在厩調整で参戦のセキトバイーストが重賞初制覇。カナテープは中山牝馬Sを回避しノーザンファームしがらきで調整され、4カ月半ぶりの実戦かつ重賞初参戦で2着。前走後チャンピオンヒルズへの短期放牧を挟んだラヴァンダが3着という結果であった。

勝ち馬が在厩調整で、外厩調整から帰厩後も順調に乗られた2着馬。そして短期放牧の3着馬と、あらゆる調整パターンの馬たちが上位を占めている。いっぽう前走勝ち後、1カ月ほどノーザンファーム天栄へ放牧に出されていた1番人気のカニキュルは8着敗退。こちらは調整云々というより前走で2勝クラスを卒業したばかりという現状での能力差で、52キロのハンデではその差が詰まらなかったと評価すべきか。

しらさぎSでは重賞格上げに伴い有力馬が複数参戦。なかでも昨年の牝馬二冠馬チェルヴィニアが注目集め、久々のマイル戦でなおかつ57キロの斤量ながら2着を確保した。同馬は今年初戦の京都記念では調教の動きが良くなく、レースでも9着敗退。前走ドバイシーマクラシックでも9頭立ての6着とまだ状態が戻り切っていなかった。前2走はレースの1カ月ほど前にノーザンファーム天栄から帰厩していたが、今回レース18日前の6月4日に帰厩。そのぶんだけ外厩でうまく調整できたようだ。もちろん好調時には及ばないデキであったものの、GIIIで格好をつけた感だ。

なお、しらさぎSを勝ったキープカルムは社台ファームの生産馬。3代母が1995年オークス馬ダンスパートナーで、今年のオークスを制覇したカムニャックと同じ一族である。だが1歳時にセレクトセールに上場され、コントレイルやキズナなどのオーナーでも知られる前田晋二氏が落札。よって以後の調整は前田氏の兄が率いるノースヒルズが担当しており、今回も外厩調整は大山ヒルズを利用していた。また最低人気ながら3着の入ったコレペティトールは、前走エプソムC12着後は在厩調整、障害転向を予定しての参戦。高配当をもたらし、夏競馬らしさに一役買った。

さて、今週からは夏のローカル競馬がスタート。開幕週の福島では3歳ハンデ重賞のラジオNIKKEI賞、函館では施行時期が前倒しされた函館記念が行われる。では、主な出走予定馬の外厩利用状況を確認したい。

・ラジオNIKKEI賞
【前走後外厩利用】
ショウナンマクベス(KSトレーニングセンター)
トレサフィール(森本スティーブル美浦エリア)
ビーオンザカバー(山元トレーニングセンター)
フクノブルーレイク(阿見トレセン)
モティスフォント(ノーザンファーム天栄)
レーヴブリリアント(ノーザンファーム天栄)

【在厩調整】
センツブラッド
バズアップビート

・函館記念
【前走後外厩利用】
アルナシーム(ノーザンファームしがらき)
グランディア(ノーザンファームしがらき)
トップナイフ(ファンタストクラブ)
ハヤテノフクノスケ(シュウジデイファーム)
マイネルモーント(ビッグレッドファーム泊津)
マコトヴェリーキー(チャンピオンヒルズ)

【在厩調整】
ディマイザキッド

個人的な話だが、10数年前に付き添いで訪れたKSトレーニングセンターには驚かされた。外厩は東西トレセン近辺に多数所在しているものの、その違いは地形と設備にある。関西の外厩は栗東トレセン近辺に山や丘が存在しており、この地形を利用した坂路調教が盛んである。いっぽう関東の場合、美浦トレセン近辺は平野のため外厩での調教は周回コースが基本。社台グループの外厩が福島県や宮城県に、あるいはビッグレッドファームの外厩が霞ケ浦を挟んだ対岸の鉾田市に存在するのは、坂路コースが造成しやすい地形を求めたのも理由である。

だがKSトレーニングセンターには、当時から坂路が存在した。なんと平地の地面を掘削した上で、そこで出た土を延長線上に土台として造成し坂路コースとして完成させてしまったのだ。この方法で美浦トレセン近郊にもかかわらず坂路コースを完成させたと聞いて感心したものだ。

ラジオNIKKEI賞にはショウナンマクベスと、KSトレーニングセンター内に関東の拠点を置く森本スティーブルを利用したトレサフィールがエントリーしている。その坂路で調整されたであろう2頭がどんな走りをするのかにも興味がある。

函館記念は、在厩調整やノーザンファームしがらき、チャンピオンヒルズの本州の大規模外厩を利用した馬と、あらかじめ北海道の外厩で調整された馬との争いと見ることもできる。ファンタストクラブ、シュウジデイファーム、ビッグレッドファームといった北海道の外厩を利用した馬たちの走りにも注意したい。

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