【日本ダービー2025/外厩リスト】オークスは“在厩調整”が上位独占 皐月賞組が強力も、重要なのは厩舎が下した「選択の背景」
坂路の家主 M
2025-05-29 17:30

先週のオークスでは最近のGIとしては珍しいことが発生した。 というのも、 1着カムニャック 2着アルマヴェローチェ 3着タガノアビー と、前走後外厩を利用することなくトレセン在厩で調整された馬たちが上位3着までを独占したのだ。 過去1年の国内平地GIレースを振り返ってみても、3着以内に中間外厩で調整された馬が1頭もいないのはこのオークスが唯一。例をあげれば、今年のNHKマイルCでは桜花賞から中3週で3着に入ったチェルビアットですら、短いレース間隔の中で外厩へ短期放牧に出されていたほどである。 オークスを勝ったカムニャックは中3週となるフローラS1着から、また3着のタガノアビーはフローラS5着から連闘で京都の矢車賞で1着となってから中2週でのステップとあって在厩調整なのも納得。だがトレセン在厩の馬が上位3着までを占めたのは、中5週となる桜花賞から直行した2着のアルマヴェローチェまでも在厩調整だったのである。 なお桜花賞馬のエンブロイダリーをはじめリンクスティップ、エリカエクスプレス、ブラウンラチェット、ビップデイジーと他の桜花賞出走馬はオークスまでの間に外厩へ短期放牧に出されていた。またカムニャックと同じフローラSから転戦のタイセイプランセスは中3週の間隔にも関わらず短期放牧に出ていたいっぽうで、桜花賞と同日に行われた忘れな草賞から中5週で参戦のサヴォンリンナは在厩調整であった。外厩へ短期放牧に出る、出ないの判断は厩舎の考えや馬によって異なるようだ。 アルマヴェローチェは上村厩舎の馬。上村厩舎といえば外厩ではチャンピオンヒルズと懇意であることが知られている。社台ファームが生産した大阪杯連覇のベラジオオペラも社台ファームのスタッフが常駐している外厩ではなく、わざわざチャンピオンヒルズを利用しているほどだ。もっともアルマヴェローチェは、これまで普通に外厩としてノーザンファームしがらきを利用してきている。それはノーザンファームの生産馬としては当然であるが、厩舎もノーザンファームのしがらきの実力を評価しているからでもある。 今回アルマヴェローチェが外厩調整ではなく在厩調整を選択したのは厩舎なりの考えがあってのこと。結果は2着だったものの、阪神JF勝ち馬として桜花賞2着から逆転するためには何が必要かを見極めた上での判断ということだ。 さてさて、オークスが終了すれば次はダービー。ダービーは中5週となる前走皐月賞出走馬が強いレースで、中間に外厩を利用するのが基本。ただ昨年は皐月賞で競走除外となったダノンデサイルがそのまま在厩で調整され、見事にリベンジを果たした。 まずは主な馬の外厩利用状況を確認したい。 【前走後外厩利用】 カラマティアノス(ノーザンファーム天栄) クロワデュノール(ノーザンファームしがらき) サトノシャイニング(チャンピオンヒルズ) ジョバンニ(宇治田原優駿ステーブル) ファンダム(ノーザンファーム天栄) マスカレードボール(山元トレーニングセンター) ミュージアムマイル(ノーザンファームしがらき) リラエンブレム(ノーザンファームしがらき) 【在厩調整】 エムズ エリキング ショウヘイ トッピボーン ファイアンクランツ レディネス 基本的には前走から間隔が長い馬は外厩を利用していて、トライアルからの転戦馬は在厩調整である。そんな中で注視したいのは皐月賞11着のエリキング。デビューから3連勝で京都2歳Sを制覇しており、野路菊Sと京都2歳Sでは後にホープフルS2着、若葉S1着、皐月賞4着のジョバンニを完封していた。その後は骨折で休養し今年3月半ばにノーザンファームしがらきから帰厩しての皐月賞出走であった。前走時点では3連勝した頃のデキになく、とりあえず復帰したという感じ。それが中5週の在厩調整で、どう変わってくるか見ものである。 あとは先週で外厩利用馬による今春のGI連勝は止まったものの、外厩調整馬ではノーザンファームの天栄としがらき、そしてチャンピオンヒルズの利用馬しかGIを勝利していない。それがダービーでも続くのか、流れが変わって山元トレーニングセンターや宇治田原優駿ステーブルの利用馬、あるいは在厩調整馬が連勝するのか。楽しみなダービーを迎える。
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